今日は私の夫・チャが子どもの頃の話の中で、私のお気に入りのエピソードをお話ししようと思います。
当時、とある村に住んでいた少年・チャ(10才位)は、野山を駆け回って遊ぶやんちゃ坊主でした。
ただ、その村には産業がなく、村での仕事といえば畑をするか、
村を流れる河のあたりで建築用の砂を集めて売ることぐらいでした。
つまり、村の人たちには収入源があまりなかったのです。
そんなある日、村の道路が大雨による土砂崩れで塞がってしまいました。
その道路は、ディリ(現在の東ティモール首都)から西の大きな港町クパン(インドネシア領)を繋ぐ道路で、
毎日、たくさんの乗客を乗せたバスや、建築資材を乗せたトラックなどが往来していました。
突然道路が塞がってしまったので、東から来た車と、西から来た車が土砂崩れの現場を挟んで立ち往生していました。
しかし、この村があるのは超田舎。
すぐに行政が動くわけはありません。
その様子を見ていた、チャとその友達の数人は考えました。
「これ、お金を稼ぐチャンスじゃない?」
少年達は、ニヒヒと笑って顔を見合わせました。
少年達は各々シャベルを持って、土砂崩れで塞がった道路のところに集まり、土砂を片付け始めました。
車が通れる幅を確保すると、立ち往生していたトラックやバスに乗っていた人たちは大喜びで、道路を通ろうとしました。
トラック運転手「坊主たち!ありがとな!」
チャ「おじさん、通行料!ちゃんと払ってね。」
トラック運転手「えぇ!そんな金ねぇよ!」
チャと友達たち「そんなら、こうだ!」
少年達は、またせっせと土砂を道路に戻して道路を塞ごうとしました。
トラック運転手「あ〜!待て待て!払えばいいんだろ!しょうがねぇな〜…。」
そうして、少年達が順調に一台一台の車から通行料を集めていると、少年達の母親達がやって来ました。
母親達「ちょっと、あんた達!」
少年達「げっ!母さん!」
母親達「よくやったわね。母さん達も一緒にお金集めるわ」
少年達「え!?あ、ああ!うん!!(怒られるかと思った…!)」
母親達は少年達を怒るどころか大喜びで一緒に通行料を集めたり、
通行料を払わない車が現れるとその車の前に土砂を戻して再び道路を塞いだり、せっせと働いたのでした。
こうして数日間は通行料を取って儲けたのだとか。
めでたし、めでたし。
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